サッカー・バスケットボール・野球・剣道・ラグビー・ダンスなど
小学生のスポーツの習いごとが大変に人気ですね。
当院に来てくれる小学生の中にもサッカーやバスケットボールなどで身体を痛めて来院するケースが大変に多いです。
今回のコラムでは、成長期に多いスポーツ障害である疲労骨折についてまとめました。
<疲労骨折とは>
疲労骨折とは、すねの骨や、足の甲などの同一部位の骨に疲労が蓄積されることで起こる骨折です。そのため、転倒や強打が原因で発生する通常の骨折とは異なり、短期的に過度なトレーニングを繰り返し行うことよって起こることが多いと考えられています。
<疲労骨折が疑われる時の症状>
痛みの初期症状は軽い痛みや腫れ感があるくらいです。
日常生活では痛みがないが、スポーツをした後に痛むというケースも多いです。
この初期症状の時にはレントゲン検査でも骨折と診断されないことも多く(骨は折れていない)、その場合は『疲労性の骨膜炎(こつまくえん)』や『過労性の骨膜炎』と診断されることがあります。
しかし、さらに無理をすると骨にひびが入ったり、ひどい場合には完全な骨折につながることもあります(大変に重要ですよ)。
※骨にヒビが入っていても軽度である場合は、初期にはレントゲンに写らず、数週間後のレントゲン検査で発見されることもあります。
<疲労骨折が多い年齢>
疲労骨折はあらゆる年齢で発症しますが、一般的には成長期(中学生・高校生)に多く、小学生でも発症します。
<疲労骨折が多い部位・競技>
- 中足骨(足の甲)の疲労骨折(疲労骨折全体の35%)
ランニングの多い競技に多くサッカー・バスケットボール・ラグビーなどで多く見られます。 - すねの骨(脛骨けいこつ)の疲労骨折(疲労骨折全体の27%)
ジャンプ競技に多く、バレーボールやバスケットボール、陸上競技でも多く見られます。 - 肘の骨(尺骨しゃっこつ)の疲労骨折(疲労骨折全体の3%)
野球などの球技に多く、何度もボールを打ったり投げたりすることで起こります。
<レントゲン検査した方がいい時>
ぶつけたり捻じったりした覚えがないのに、なかなか改善しない慢性的な痛みや腫れがある時
※全般的な痛みの原因としては骨が折れていないことの方が多いです。
しかし初期の疲労骨折の場合は筋肉の痛み同様に普通に動けることも多く、内出血(患部が出血で青くなる)もないため、一般の方では見た目では判断がつきにくいです。
上記のような痛みがある時には、年齢やスポーツ競技の種類、運動量や練習量などから判断してみてください。
<疲労骨折の治療法>
基本的にギプスなどの固定は必要がないことが多いです。
ひびなどの骨折が疑われる場合には、スポーツなどは完全に中止して、痛みが完全になくなるまでは安静にして、負担をかけないようにしてください。特に足の骨の疲労骨折は重症化すると完治までの時間が長期になることもあります。
最も良い対策は初期症状の骨折がない状態の時に十分に安静にして完全に治すことです。
<当院での治療について>
実際に疲労骨折をした場合には、安静だけではなかな痛みが取れないことが多いです。
当院での治療は、骨折した患部を直接触ることはせずに、痛みのある場所よりも身体の上側(足の甲なら太ももやふくらはぎ)から筋肉や血管の流れにそって治療をします。
疲労骨折の完治に必要なことは、治る流れを作ってあげることです。
初期の疲労性骨膜炎であれば、数回の治療で痛みが改善します。
疲労骨折や疲労性の骨膜炎の場合、筋肉が硬くなっていて必ず血行不良が起こっています。
この血行不良を治療で解消しないため、回復が遅れ、長期的な痛みになってしまいます。
痛みがある局所への血行不良を解消することで、早期回復とスポーツへの早期復帰を目指します。